習慣と伝統

カザフスタンの文化は彼らの遊牧民経済に即した文化となっている。イスラム教は7世紀から12世紀にかけてカザフスタンに伝わった。羊肉の他にも、カザフスタンの文化を代表する様々なシンボルとなる伝統料理が存在する。カザフスタンの文化はテュルク人の遊牧民生活様式に大きく影響を受けている。
伝統的なカザフスタンの生活様式では畜産が主な産業であるため、多くの行動様式、習慣が家畜と何らかの意味で関係するものとなっている。伝統的な呪術や祈りは動物の病気を祓い生産力向上を願うためのものであり、遊牧生活を営むカザフ人の間では挨拶する際にまず相手の家畜の健康について訪ね、そののちに相手について訪ねるという習慣がある。

伝統的な住まい
カザフスタンの伝統的な住まいはユルトという、しなやかな梁を巡らせその周りにヒツジの毛皮などで作るフェルトをかぶせてテントのような形にした移動式住居である。ユルトの頂上部には穴が開いており、ユルトの中心部にあるかまどから出る煙を逃がす構造になっている。入口を開閉させて幅を変化させることにより、内部温度を調節することが可能であり、夏は涼しく、冬は温かい中で過ごすことができる。また、ユルトは折りたたみが可能であり、約1時間で組立、分解が可能である。ユルトの中央奥は儀式用のスペースとなっており、儀式用スペースから見て右側が男性の、左側が女性用のスペースとなっている。ユルトの形状は、遊牧生活を送らなくなったカザフ人の間でも、レストランや公共施設のモチーフとしてしばしば使用される。

料理

伝統的なカザフスタン料理は羊肉や馬肉を用いた料理が多く、他にも様々な乳製品が用いられる。数百年間を通して、カザフ人はヒツジやフタコブラクダ、馬の放牧で生計を立てており、交通手段や衣服、食材などの輸送も主にこれらの動物に依存していた。したがってカザフ人の料理技術や食材もまた彼らの遊牧民生活に大きな影響を受けたものとなっている。例えば、ほぼすべてのカザフ人の料理技術は食料の長期保存を意図した技術となっている。干し肉や塩漬けなどの方法に関しては様々な方法があり、遊牧民生活に適した発酵乳の製造方法などもある。
中央アジアのなかでも遊牧民だったカザフ人のごちそうはなんといっても肉。 主に馬肉と羊肉で、特に馬肉は都市の住人でも1週間に2回は食べるという。肉の消費量は世界で1、2を争うといわれるほどだ。 カザフ料理は中央アジア全体に共通する料理が多いがカザフ料理ならではのものを以下に紹介しよう。
 
カルイン・ サン
 仔羊の内臓とパプリカなどの野菜を炒めたもの。唐辛子を効かせた辛味で、 ナン(イーストを入れずに窯で焼く平らなパン)にのせて食べる。
 
カズ
 カザフ人の大好物「カズ」は、馬肉の腸詰め。馬肉に塩、コショウ、 ニンニクをまぶして腸に詰めて2~3時間弱火で茹でる。このときカルタ(胃袋)もいっしょに鍋で茹でる。
 
 ほかに中央アジア全体に共通するプロフ(炊き込みピラフ)、ラグマン (うどん。カザフ風はトマト味のスープが多い)、サムサ(パイ)、マントウ(蒸した肉饅頭)などがカザフの代表的な料理である。

ベシュバルマクは茹でた馬肉もしくは羊肉からなる料理で、カザフ料理では最も人気のある料理である。ベシュバルマクは通常ゆでた麺とともにソルパと呼ばれる肉を煮込んで採ったスープをかけて出され、ケセと呼ばれる茶碗に似た形状のボウルに入れて供される。その他の人気のあるカザフ料理としては、カズィ(Kazy, 高級な馬の腸詰)、シュジュク(馬の腸詰)、クイルダク(カザフ語: куырдак、馬肉とヒツジや牛の腎臓、心臓、肝臓などのもつ、細かく刻んだ玉ねぎやピーマンを入れて煮込んだ料理)等があるほか、ジャール(Zhal、馬の首から取れるラードをスモークしたもの)やジャーヤ(Zhaya、馬の臀部や後肢部分の肉を塩漬けもしくはスモークしたもの)等、様々な馬肉料理がある。パラウはカザフスタンで最も一般的な米料理であり、野菜や肉を米とともに炒めた後に炊いた料理である。カザフスタンでよく飲まれている飲み物としてはクミス(馬の乳を発酵させて造る酒)や茶等がある。

カザフ伝統の飲料
伝統の移動式テント「ユルタ」 を5つ建てたもの。ユルタを使ったレストラン内部は、夏は涼しく冬は暖かい。ユルタの中で寝転んでクムィスやシュバット (ラクダの発酵乳飲料)を飲むことこそカザフ人たる醍醐味だという。
「期間中は毎日、クムィス250リットル、シュバット300リットルをレストランに出していますが、 なんといっても新鮮な馬乳サウマウが一番のお薦めです」とマハノフさんは言う。
「サウマウは絞って3日以内の新鮮な馬乳のことです。この3日間は、馬乳に含まれる成分が豊富なので、非常に健康に良いのです。 結核や胃腸や十二指腸の潰瘍、糖尿病、癌など、何にでも効果があると言われています。抗体を強化するのです。 これはカザフスタンやロシアの学者たちが効能を証明しています。それと抜群の若返り効果もあると言われています。しかし、 絞りたてでないとならないので街では簡単には飲めません。このためにアルマティの住人がわざわざ郊外のここまで車でやってくるのです。
馬の餌には干草のほか、牧草地のクローバーや牧草を与えています。 牧草地にはヨモギや黒ヨモギなどたくさんの薬草が生えており、 馬たちはこれらを餌にしているので私の農場のサウマウは特に効果があって人気があるのです」
とマハノフさんは胸を張って言う。